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今週の一言 第二十六回 前回に引き続きテーマは「働き方」稲盛和夫をとりあげるこのテーマでは最終回

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今週の一言 第二十六回 前回に引き続きテーマは「働き方」稲盛和夫をとりあげる このテーマでは最終回

2024/10/06

今週の一言 第二十六回 前回に引き続きテーマは「働き方」 稲盛和夫をとりあげる

『働き方』 稲盛和夫 著 三笠書房より引用。

前回の続き「入社して一年ほどたった、二十四歳のときでした。

 私は当時、フォルステライトと呼ばれる、新しい材料の研究開発にあたっていました。フォルステライトとは、絶縁抵抗が高く、とくに高周波域での特性に優れているファインセラミックス材料のことです。そのころ主流であったステアタイトに比べて当時爆発的に普及し始めた、テレビのブラウン管に使う絶縁材料としては、より適していると言われていました。

 しかし、合成に成功した例がなく、私にとっても会社にとっても、このフォルステライトの研究開発は、まさにチャレンジングなテーマでした。

 そのため、大した設備もない中、連日連夜、それこそ徹夜続きで開発実験を続けても、なかなか思うような結果が出ません。私はもがき苦しみながら、自分をギリギリのところまで追い込み、昼夜を問わず実験を続けていました。そして、どうにか合成を成功させることができたのです。

 後にわかったことですが、当時、このフォルステライトの合成に成功したのは、私以外には、アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)だけでした。それだけに、私の開発したフォルステライトは大いに注目を集めました。

 この高周波特性に優れたフォルステライトを材料として、最初に製品開発に取り組んだのが、松下電器産業(現パナソニック)グループの中でブラウン管の製造などを担当していた松下電子工業(当時)から受注した、「U字ケルシマ」という絶縁部品でした。

 ちょうどそのころは、日本の家庭にブラウン管式のテレビが普及し始めた時期で、その電子銃の絶縁部品であるU字ケルシマの材料として、私が開発したフォルステライトが打ってつけだったのです。

 このU字ケルシマの開発で一番苦労したのは、原料であるフォルステライト粉末の成形でした。さらさらの粉末では、形をつくることはできません。うどんやそばをつくるのと同じように、粘りけのある「つなぎ」が必要になるのです。従来は、粘土をつなぎとして使っていましたが、それではどうしても不純物が混ざってしまいます。来る日も来る日も、私はこの「つなぎの問題」をどうクリアするか、考えあぐねていました。

 そんなある日、思いもかけないことが起きたのです。

 その日、私は懸案の「つなぎの問題」を考えながら、実験室を歩いていたところ、何かに

蹴躓(けつまず)いて転びそうになりました。思わず足元を見ると、実験で使うパラフィンワックスが靴にべっとりとついているのです。

 「誰だ!こんなところにワックスを置いたのは!」と叫びそうになった、まさにその瞬間です。

 「これだ!」

 私はひらめきました。

 早速、手製の鍋にファインセラミックス原料と、そのパラフィンワックスを入れて、熱を加えながらかき混ぜて原料をつくり、型に入れて成形してみたところ、見事に形をつくることに成功しました。さらには、それを高温の炉に入れて焼くと、つなぎのパラフィンワックスはすべて燃え尽きてしまうので、完成品のU字ケルシマには不純物がまったく残っていません。

 あれだけ悩み抜いた懸案が、一気に解決していったのです。

 今思い返してみても「神の啓示」としかたとえようのない瞬間でした。

もちろん、実際に解決策がひらめいたのは私自身です。しかし、それは一生懸命に仕事に打ち込み、苦しみ抜いている私の姿を見た神様が憐れみ、知恵を授けてくれた、そう表現するしかできないように思うのです。

 私は、そんあ経験をいく度も積んできたために、その後、ことあるごとに社員をつかまえては、「神様が手を差し伸べたくなるほどに、一途に仕事に打ち込め。そうすれば、どんな困難な局面でも、きっと神の助けがあり、成功することができる。」と、よく話したものです。

 私が開発したU字ケルシマはその後、テレビのブラウン管の製造に欠かせない商品として、松下電子工業から大量の発注を受け、傾きかけた会社を救う起死回生の商品として、会社の期待を一身に集めることになりました。

 このときの技術、実績が、その後の京セラ発展の礎となったと言っても過言ではありません。また、この「最初の成功体験」によって、私は苦難の中にあっても、懸命に働くことが、素晴らしい運命をもたらすということを、幸いなことに実感することができました。

「あいつは、かわいそうだ」―。

 人間というのは、周囲からこう言われるくらい不幸な境遇に、一度は置かれたほうがいいのかもしれません。

 ちょうど冬の寒さが厳しければ厳しいほど、桜が美しい花を咲かせるのと同じように、悩みや苦しみを体験しなければ、人は大きく伸びないし、本当の幸福をつかむことができないのでしょう。

 私の場合も、人生において経験してきた、数え切れないくらいたくさんの苦労や挫折は、ちょうどオセロの石が一気に黒から白に返るかのように、後にすべて成功の土台となってくれました。今、振り返ると、過去に苦しいと思えたことが、後になっていい結果を招いていることに気づかされるのです。

 そう考えれば、人生における苦難や挫折、それこそが私の人生の起点であり、最大の「幸運」であったのかもしれません。  ・・・略」

 「順境なら「よし」。逆境なら「なおよし」―。自分の環境、境遇を前向きにとらえ、いかなるときでも、努力を重ね、懸命に働き続けることが大切なのです。」

稲盛和夫の働き方については、これで終わる。また多くのことを学んだ。これだから本を読むのはやめられない。次回今週の一言は別のテーマで考えてみる。

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