今週の一言 第二十三回 テーマは働き方 稲盛和夫をとりあげる
2024/08/13
『働き方』 稲盛和夫 著 三笠書房
2009年4月5日第1刷発行 2024年5月10日第63刷発行 より引用。
「働くことは「万病に効く薬」」
「私は、働くことは「万病に効く薬」―あらゆる試練を克服し、人生を好転させていくことができる、妙薬(素晴らしい薬)だと思っています。
私たちの人生は、さまざまな苦難から成り立っています。
自分が望んだり、招いたりしたわけでもないのに、思いもかけない不幸が次々に襲ってきます。そのような苦難や不幸に翻弄されるとき、私たちは自らの運命を恨み、つい打ちひしがれそうになってしまうものです。
しかし、「働く」こと自体に、そのような過酷な運命を克服し、人生を明るく希望あふれるものにしていく、素晴らしい力が秘められているのです。それは、私自身の人生を振り返ってみても、明らかです。
私は若いときに、多くの挫折を経験しました。
まず、中学の受験に失敗しました。そして、結核にかかり死線をさ迷うことになりました。病気を押して受けた再度の中学受験にも失敗しました。そのうえ、戦災で家まで焼かれてしまいました。
十歳代前半の幼心にも、自分のツキのなさに暗然とする思いでしたが、試練はその後も続きました。
大学への進学や就職活動も思うに任せなかったのです。
志望大学の医学部の受験に失敗した後に、地元の大学の工学部に入学することになりました。気を取り直し、猛勉強に励み、学校から太鼓判をいただいていたものの、大手企業への就職活動がことごとくうまくいきません。
やむなく先生の紹介で、京都にあった小さなガイシ(電線を支持し、絶縁するために、鉄塔や電柱などに取り付ける陶製の器具)製造会社に就職しました。しかし、その会社は今にも潰れそうな赤字会社で、初任給が給料日に支払われず、「もう少し待ってくれ」と会社から言われる始末でした。
二十三歳の私は、人生の門出にあたり、「なぜ自分にはこんなに次々と、苦難や不幸が降りかかってくるのだろう。この先、自分の人生はどうなっていくのだろうー」と、
暗澹たる思いにとらわれ、自らの運命を嘆いたものでした。
しかし、私は、そのような過酷な運命に彩られていたはずの人生を、たった一つのことで、大きく塗り替えることができたのです。
それは、私自身の考えを改め、ただ一生懸命に働くことでした。
すると不思議なことに、苦難や挫折の方向にしか回転していかなかった私の人生の歯車が、よい方向へと逆回転をし始めたのです。
そして、その後の私の人生は、自分自身でも信じられないほど、素晴らしく希望あふれるものへと変貌を遂げていきました。
読者のみなさんの中にも今、働く意義を理解しないまま仕事に就いて悩み、傷つき、嘆いている方があるかもしれません。そのような方には、「働く」ということは試練を克服し、運命を好転させてくれる、まさに「万能に効く薬」なのだということを、ぜひ理解していただきたいと思います。
そして、今の自分の仕事に、もっと前向きに、できれば無我夢中になるまで打ち込んでみてください。そうすれば必ず、苦難や挫折を克服することができるばかりか、想像もしなかったような、新しい未来が開けてくるはずです。
本書を通じて、一人でも多くの方々が、「働く」ことの意義を理解され、幸福で素晴らしい人生を送っていただくことを心から祈ります。」
長い引用になってしまったが、この人の考え方は素晴らしいと思った。著者紹介の欄で、1932年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。81年には第二電電(現KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。このほか、1984年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。また、若手経営者のための経営塾「稲盛塾」の塾長として、後進の育成に心血を注いだ。2022年、
90歳で逝去。 とある。この本はとても面白いので、次回 今週の一言 第二十四
回へと続く。
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